隠れるだけの僕だけど（本編前）

姉ネタで
ルカ（ルーク）についてつらつらと
やたら長くなったのはご愛敬
オリキャラ入りまーす
苦手な方は気付けて下さいなー

屋敷の奥まった部屋
そこがルカの自室である
預言に読まれた内容により、表向き認められないルカのために作られた部屋
初めて真実を聞かされた時は預言なんて何を馬鹿なと思った
だが学んでいくにつれて世界は預言を重視していることがよくわかる
そう考えるとルカの周りは世間一般から見て異質だろう
大勢が信じている預言を覆そうと皆が頑張り、そしてルカを助けてくれている
もしも周りが預言厳守の人間なら、もしも考えることを放棄した人間なら・・・
そんなことを考えるとルカの背中がぶるりと震えた
きっと自分はこの世に生を受けて数分もしないうちにあの世に逝っていたか
道具のように扱われていただろう
世間に存在を赦されていないが自分を愛してくれる両親に叔父
心配してくれる自分の片割れであるアッシュ・従姉妹のナタリア
慈しんでくれる姉
秘密を守ってくれるガイ
ペールやラムダスを初めとした使用人やメイド・騎士団のみんな
誰かが欠けていたら今はないと思うルカにとって皆は生きる希望であり
また守りたい対象だ
だからこそ表だっての存在がなくとも幸せだ 


ただずっと閉じこもることは少々ルカには辛かった
客が訪れない時は庭で稽古ができたり、こっそりアッシュと入れ代わったりできる
だがここ１週間は屋敷の庭にさえ出れないでいる
どこぞの髭が呼んでもいないのに勝手に訪れるからだ 
たまに髭の時にアッシュと入れ替わったりしているが
来ている時はそうそう代わったりしない
入れ代わるとしたらアッシュのストレスが相当溜まっている時くらいだろう
キムラスカでは髭を歓迎している者など皆無なことに気付いていないのか
否、きっと気付いていないのだろう
でなければ根気よく訪れる説明ができない
さっさとダアトに帰ればいいのに
むしろ謡将って偉い立場な分大事な仕事があるんじゃないのか！？
イライラが止まらない
八つ当たりするように読んでいた本を乱暴に机に置いた


「苛立つ気持ちもわかるけど本に当たっては駄目よ」


さっきまでは一人だったのに
（一緒にいたガイはラムダスに呼び出されてしまっていない）
気配を感じると共に後ろから優しく宥められた


「けど姉上、いくらなんでも一週間もこんな状態だと怠ける！」


今は室内であるので普段どおり砕けた話し方をする
謡将とルークとして会う時ではわざと無知な貴族の坊ちゃんをアッシュと共に演じてはいるが
（入れ代わったことすら気付かないのもどうかと思う）


「大丈夫よ、そろそろ謡将もダアトでの仕事が溜まってるだろうから帰るはずよ
しばらく・・・そうね一月は来れないのではないかしら？
もし不安なら導師に手紙を出して縛り付けてもらってはどう？」


導師という言葉に爽やかな笑顔を浮かべる若葉色の髪をした彼を思い浮かべた
彼とは数回しか会ってないがお互い手紙のやり取りをしている友人であり、
預言を覆すという目的を持った仲間である
もちろん彼の弟達や今は六神将に就いている元導師守護役の彼女、
マルクトからスパイとして潜入している博士だって仲間だ
（そう考えると謡将の周りに味方はほとんどいない　樽もだが）
導師である彼に手紙で頼べばその周りで作戦なり立ててなんとかしてくれるだろう
笑顔で言っている姉の額に青筋が見える（ような気がする）
誰に対しても優しい姉だがヴァンやモースに対しては別であるようで
ストレスもこの１週間で大分溜まってしまったようだ
（姉上にはいつも優しい笑顔を浮かべていて欲しいと思うのに）
そう考えると何か手を打ったほうがいいのかもしれない
（あとでアッシュと相談だな）


「そろそろアッシュも解放されるでしょうから休憩も兼ねてお茶にしましょうルカ」


謡将の存在を頭から瞬時に消し去りいつもの笑顔を浮かべる
それに姉の提案は有り難かった


「やった！そろそろ休憩したかったんだよな～」

「それじゃあルカは部屋にいてちょうだいね
私はメイドに準備を頼んでアッシュに伝えてくるわ
準備が出来たら誰かしから呼びに来させるからそれまで出ては駄目よ」

「大丈夫、分かってるよ姉上」


くしゃりと頭をひとなでしてくれてから部屋を出て行った
先ほどまでの気分とは打って変わって茶会を楽しみにしつつ、
乱暴に置いてしまった本を手に続きを読んで待っていることにする 



隠れるだけの僕だけど
（ただ黙っているだけじゃねぇからな）



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関係とかを詰め込みすぎたらこんなことに
信託の盾（一部）以外は模造バリバリ
悪役ってなんですか？な勢いで（笑）


08/01/25　夜人